えっ、うそ、本当にこんなに〇〇〇の?
50代で離婚するとき、気になることのひとつは年金分割ですね。
でも、いったいどれくらい分割してもらえるのかご存じですか?
まずは、こちらの資料をご覧ください。
年金分割した際、分割後にどれくらい年金額が増えたのか、平均額が公表されています。
出典:令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 31ページ目
あくまでも平均ですが、とても少なく感じませんか?
もちろん平均額なので、婚姻期間の長さやこれまでの夫婦それぞれの所得によって多かったり少なかったりします。
いかがでしょうか、分割後に増える年金額が平均月3万円程度と聞いて、年金分割が頼りになると感じるでしょうか。
とはいえ、年金は「夫婦の財産」なので、年金分割はぜひ請求しましょう。
こちらの記事では、年金分割でどれくらい年金が増えるのか、おおざっぱですが計算してみます。
私の周りの50代で多い「結婚後、専業主婦またはパート勤務で、ずっと夫の扶養に入っている」パターンを例にしています。
分かりやすく「扶養に入っている」と書きましたが、正確には「3号被保険者」ということです。
年金分割の資料を取り寄せよう
まずは、最寄りの年金事務所(個人の相談であれば原則どこでも可能)で「年金分割のための情報通知書」を手に入れ、正確な数字を把握します。
できれば、離婚前にする準備の一つにしましょう。年金事務所の相談は事前に予約が可能です。
戸籍謄本など必要な書類がいくつかありますので、予約時に確認しておきましょう。
\ 予約はこちらから /
私も別居後すぐ、年金事務所に日時の予約をいれて出向きましたよ。
情報通知書はその場で交付されると思っていたのですが、約2週間後に自宅へ郵送されてきました。
ちなみに筆者は50歳以上であったため、窓口で将来の年金受取額をシュミレーションしてもらえました。
具体的なシュミレーション結果が出ますので、ご希望の場合は窓口の担当者に声をかけてみて下さい。
年金分割の基本的な注意点
年金分割には注意点がいくつかあります。
- 分割できる年金は「厚生年金」のみ「国民年金」は分割できません
- 分割できる年金は「婚姻期間中」の厚生年金です
- 「保険料納付記録」が分割されるので「年金額」が分割されるわけではありません
以下で詳しく解説していきます。
分割できる年金は「厚生年金」のみで「国民年金」は分割できません
国民年金は分割できません。
国民年金は基礎年金と呼ばれるもので、分割の対象にはなりません。
念のために年金について、ざっとおさらい。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | |
---|---|---|---|
加入対象 | 農業者・自営業者・学生 無職の方など | 会社員・公務員など | 第2号被保険者に 扶養されている |
年齢 | 20歳以上60歳未満 | 70歳未満 | 性別は問わない 20歳以上60歳未満 |
加入している年金の種類 | 国民年金 | 国民年金と 厚生年金保険 | 国民年金 |
俗に「結婚後に、旦那さん(会社員で第2号被保険者)の扶養に入っている」と言われるのが「第3号被保険者」です。
この場合、旦那さんの厚生年金の部分だけ、一部(最高50%)分けてもらえます。
よく勘違いされているのですが、農家さんや自営業、フリーランスの旦那さんの場合は「国民健康保険」「国民年金」がデフォルトですから、妻は扶養に入っていません。
夫、妻のそれぞれが国民年金保険料を支払っています。
ややこしいので、ここでは置いておきますが、所得税計算上の扶養親族とは考え方が別の物です。
旦那さんが、自営業やフリーランスで国民年金加入だった場合、年金分割がありません。
それも念頭に入れて、財産分与を多めにしてもらうなどの交渉が必要です。
分割できる年金は「婚姻期間中」の厚生年金
「結婚している期間中の厚生年金」について分割が可能です。
当然ですが、結婚前にそれぞれ納付していた厚生年金は分割できません。
婚姻期間が長い50代で離婚する場合、厚生年金の支給見込み額はそこそこの資産になっていることが多いでしょう。
婚姻期間が短い場合は分割分も少なくなります。
「保険料納付記録」が分割されるので「年金額」が分割されるわけではない
これもよくある勘違いですが、旦那さんが将来もらう年金額の半分をもらえる、というのは間違いです。
先述したように、国民年金(基礎年金)の部分は分割ができないからです。
筆者の元夫も完全に勘違いしていて、自分がもらう年金の半分を持っていかれると思っています。
別記事にしますが、そもそも私の元夫は厚生年金の部分が極端に少ないので、私に持っていかれる(言葉が悪くてすみません)金額はしれています。
では一体何をどう分割するのか、気になりますね。
年金分割は、婚姻期間中の「保険料納付記録(標準報酬)総額」を夫婦で分け合います。
だいたい、半分に分ける(按分アンブン割合50%)ことが多いですね。
按分割合=分割割合と考えてください。
標準報酬という聞きなれない言葉で申し訳ないのですが、非常にざっくりいうと給料の額です。
給料の額に応じて年金の保険料が決められ、月給や賞与から保険料が差し引かれています。
将来の年金受給時は「保険料納付(標準報酬)記録」を基に、決められた数値を掛け算して金額が決まり、年金が支給されます。
ここでは、ざっとした試算なので、正確な金額は年金事務所で聞くことが重要です。
私は、年金事務所へ出向いた際、担当して下さった社会保険労務士の女性が非常に親切な方で、いろいろと試算したり情報を教えてもらったりしました。
年金分割の具体的な金額例
それではさっそく以下で試算してみましょう。
まず、情報通知書で婚姻期間中の「標準報酬総額」を確認します。
夫婦2人の標準報酬総額合計に按分割合を掛けます。
夫と妻のそれぞれが標準報酬総額5,000万円になりました。
年金額はこの金額に0.005481※をかけて求めます。
今回のケースでは、夫と妻が等しく274,050円(年額)と計算できました。
つまり、夫は年間274,000円減って、妻は年間274,000円増えます。
※「0.005481」の部分は、年齢や加入期間によって変わります。
今回は、「昭和21年4月2日以降に生まれた方」で、対象期間(婚姻期間)が「平成15年4月以降」のケースを例にしています。
妻が年金をもらう際は、以下の合計が支給されます。
- この分割の年金分
- 基礎年金
- 自分が加入していた厚生年金
50代になると年金について身近に感じるようになるものです。
離婚しない場合でも支給の目安を知っておくと、今後の生活設計に役立ちますよ。
共働きで、夫婦ともに厚生年金へ加入している場合については別記事で取り上げます。
年金分割の割合(按分割合)は最高でも50%
分割の割合=按分アンブン割合は最高でも50%です。
上記のケースより、もっと分けてもらえないの?と思う方もいるでしょう。
しかし、按分割合は50%が上限です。
そして、多くの場合、50%でとりおこなわれています。
年金分割は「保険料納付記録」の総額が多い方(多くは夫)が、少ない方へ(多くは妻)へ提供します
年金分割は「多くもらう方が少ない方に分け与える」ものです。
夫が妻に年金を分け与えるもの、ではありません。
この記事では想定していませんが、例えば、夫はずっと自営業で厚生年金未加入だけれど、妻が勤務先で厚生年金に加入していた場合は、イメージとは逆に妻の厚生年金が夫に持って行かれます。
ただし、夫が請求すれば・・・の話ですが。
分割請求には期限があります
年金分割請求の期限は、離婚後2年以内です。
なお、先にお伝えした「情報通知書」を取り寄せただけでは年金分割は行われません。
離婚後に必ず、年金事務所で「標準報酬改定請求(離婚時の年金分割の請求)」をして下さいね。
私の友人の一人は時効が来てしまいました。
彼女の場合は結婚してからもずっと第2号被保険者で、分割請求してもあまり増額しなかったため、面倒に感じたのだと思います。
私は月額にすると、ほんの数千円が分割されるだけですが、もちろん請求します!
年金分割について、専門家に聞いてみたい方はこんなサービスもあります→離婚問題のお悩みは一人で悩まず経験豊富な専門家に相談しましょう。
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