【サンプル記事】扇子の持ち方コラム

涼しげで美しい扇子は夏の必需品。夏場は常にバッグの中へ入れて持ち歩いているかたも多いはず。

せっかく美しくおしゃれな扇子を手に入れたなら、上品で洗練された雰囲気を演出できる持ち方であなたの魅力をアップさせましょう。

扇子は茶道をはじめ、能や狂言といった日本の伝統芸能に欠かせない道具であるのはもちろん、夏場を涼しく乗り切る小道具でもあります。

こちらの記事では、扇子の起源や扇子言葉、日常使いのマナーと洗練された取り扱い方法などを紹介します。

目次

扇子の起源

扇子は、平安時代の初期に京都で誕生しました。

世界中で使用されている扇子の発祥地は、実は日本だとご存じでしょうか。

団扇は古代より世界各国で使用されていましたが、折り畳み式の扇子を発明したのは日本とされています。

扇子の始まりは「檜扇」とよばれる、細長く薄い木の板を綴り合わせ手元に要を付けたものでした。

そののち現在の形状に近づき、扇面が上絵で美しく装飾された扇子は、流行に敏感な宮中女子のあいだで瞬く間に広まりました。

洗練された扇子の用途は、単に仰いで涼風を発生させるにとどまらず、華やかな宮中の儀式に使用したり短歌を書いて送ったりと多岐に利用されていきます。

なかでも人気のあった使い道は・・・そう、男女の恋愛に関するツールとしての用途です。

扇子言葉とは

扇子が世界中に広まった理由は、団扇よりコンパクトで持ち運びがしやすいことはもちろんですが、恋心を伝える手段にもってこいだったからではないでしょうか。

相手に気持ちを伝える恋愛の小道具として、扇子は大いに活躍します。扇子言葉もその一つです。

では、恋愛を進展させるためどのように扇子を使っていたのか、歴史を振り返ってみます。

扇子に和歌を書いて送る

思いを込めた和歌を、扇子に直接書いて送っていました。

有名な「源氏物語」では、扇子に即興で歌を書いたり扇子に書いた歌で応答したりする場面がたくさん描写されており、男女の心理戦が垣間見られます。

人柄がにじみ出る筆跡と、扇子に描かれた絵によって相手の気持ちを汲み取っていたのでしょう。

また、時には友人同士で送りあって親交を深めることもあったようです。

当時、貴重品であった扇子に歌を書くというのは特別な意味があったに違いありません。

扇子を恋愛の小道具として使用することは、日本だけでなくのちに扇子が伝わったヨーロッパでも広まりました。

扇子言葉の一例

19世紀ヨーロッパ、扇子は恋愛のコミュニケーションを支えるとても人気のツールでした。

当時、扇子を使うような身分の高い男女はなかなか2人きりになれず、恋人や婚約者同士が扇子言葉と呼ばれる扇子を使ったジェスチャーで気持ちを通わせていました。

例えば、以下のような扇子言葉があります。

  • 扇子で手をなぞる→あなたなんか大嫌い
  • 扇子の先端を指で触れる→あなたに話しかけたい
  • 半開きの扇子を唇に押し付ける→私にキスしていいわよ

19世紀のヨーロッパを舞台にした映画などでは、貴婦人が扇子を持ちこのようなジャスチャーをしている場面が見受けられます。

身分の高い男女が表立って言葉を交わすのは憚れていましたが、扇子言葉ではなかなか積極的に思いを伝えていたんですね。

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